妊娠と足の静脈瘤 妊娠初期から着用ください

妊娠による体の変化

妊娠すると、母体には以下のような変化が生じます。

  1. 血液量の増加: 妊娠すると、母体内の血液量が通常の約1.5倍に増加します。妊娠期間中(約9カ月間)、全身の血管は血液で充満し、特に足の静脈は血液がたまりやすい部位です。結果として、足の静脈は膨らみ、圧迫されます。
  2. 女性ホルモンの増加: 妊娠中、女性ホルモンの分泌量が増加します。下肢静脈瘤の発症に関連する女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンがあります。妊娠に伴い、これらのホルモンの分泌が増加し、特にエストロゲンは増加率が高いとされています。これらのホルモンは血管を拡張し、静脈を柔軟にしやすい状態にします。このため、膨張した足の静脈はさらに伸びやすくなります。
  3. 子宮の拡大と骨盤での静脈圧迫: 妊娠後期になると、胎児が成長し、拡大した子宮が骨盤内の静脈を圧迫します。この静脈が圧迫されると、足の静脈からの血液流れが制限され、流れが悪くなります。

これらの要因が重なるため、妊娠中の9か月間は足の静脈にとって非常に過酷な状況となります。出産後、一部は元の状態に戻ることもありますが、長期間伸ばされた静脈は元に戻りにくいこともあります。その結果、足の静脈の逆流防止弁が正常に機能しなくなり、血液は重力に逆らえなくなります。これが進行すると、皮膚の炎症や湿疹、かゆみ、そして潰瘍などの症状が現れ、これが下肢静脈瘤と呼ばれる病気のメカニズムです。妊娠経験のある女性の約2人に1人がこの症状を経験しており、出産後にも症状が残ることがあります。しかし、症状の軽減や予防には対策があります。妊娠中の静脈瘤予防には、弾性ストッキングの着用などが有効です。

妊婦必須アイテム!弾性ストッキング

「弾性ストッキング」と聞いたことはありますか? これは医療用に設計された特別な靴下です。形状は通常の靴下と似ていますが、着用時の特徴は内部の圧力です。通常の靴下とは異なり、弾性繊維が編み込まれており、履くと足に圧力がかかります。この圧力は足首で最も強く、ふくらはぎに向かってゆるくなります。この圧力により、足の下から上に向かって、まるでマッサージを受けているかのような効果が得られます。その結果、足の静脈内の血液とリンパ液の流れが促進されます。

実際に着圧ソックスを履いてみると、足先からふくらはぎにかけて、心地よいマッサージを受けているかのような感覚が広がります。足は「第二の心臓」とも言われ、ふくらはぎの筋肉は静脈内の血液を力強く押し出す役割を果たしています。これを「足の筋肉ポンプ作用」と呼びます。弾性ストッキングは、この足の筋肉ポンプ作用を支援し、外部から皮膚に圧力をかけることで、血液でパンパンになった静脈が引き締まり、血流が改善されるのを助けます。

これにより、下肢静脈瘤の予防が可能となり、また、出産時や産後の静脈血栓症が懸念される場合にも対策となります。

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